腱鞘炎・ばね指

「なんだか手首が痛い」
「朝起きると、指が伸びづらい…」

ということはありませんか？

知らず知らずに指や手首を使いすぎて疲労が蓄積されますと、最初は手首の違和感などから始まり、時々ヒリヒリとした感覚に変わり始めたり、ひどくなりますと常に痛みを伴った状態になります。結核性やリュウマチ性、女性ホルモンのエストロゲンの減少が原因の腱鞘炎もありますが、多くが過度の使用が原因で、妊娠後の育児や更年期の女性に起こることが多く、スポーツマンや指をよく使う仕事の人に多い症状です。

腱鞘炎の原因

母指（親指）の使いすぎによる刺激のため、腱を包む、腱鞘（けんさく）と呼ばれるトンネルのような筒が肥厚したり、腱の表面が傷んだりして、そのために一層刺激が強くなる悪循環により悪化してしまいます。

腱鞘炎の種類　①親指が痛い

母指には幾つかの腱が走っていますが、そのうちの二本の腱が手首の母指側にある腱鞘の中を通ります。腱鞘の部分で腱の動きがスムーズでなくなり、炎症が起こると痛みや腫れが出てきます。パソコンのマウスの使い過ぎなどでもおこる症状です。

①短母指伸筋腱：主に母指を伸ばす働きをします。
②長母指外転筋腱：主に母指を広げる働きをします。
③腱鞘：刀の鞘（さや）と同じように、鞘の中を腱が通ります。

①短母指伸筋と②長母指外転筋の腱が③腱鞘と強く擦れるのを繰り返すことで発症します。

腱鞘炎の種類　②ばね指

こんな症状はありませんか？

朝起きると、指が伸びない

指の付け根に痛み、腫れ、熱感を感じる

指の曲げ伸ばしをすると、カクッと引っかかりを感じることがある

スマホの操作だけでも痛い

湿布では治る気がしない

「ばね指」の原因

ばね指は、指を曲げる腱の使い過ぎによって、腱と腱鞘の間で炎症が起こり痛みます。腱が肥厚し（腫れ）てコブ状になって、腱鞘を通りにくくなります。
発症部位は、親指が多く、人差し指、中指、薬指に起こります。ばね指の名前は、引っかかった指を無理に伸ばそうとすると、まるでばねの様にかカクッとなって伸びるので、ばね指と言います。その他、「弾発指」「スナッピングフィンガー」とも言います。
＜腱鞘と腱の肥厚状態＞　<とan>

＜発症部位＞

腱鞘炎の好発年齢

　・中高年の女性や出産直後の女性（エストロゲンの減少などの影響）、1～2歳の幼少児に好発すると言われています。

・近年はスマホやＰＣの普及によって使い過ぎにより痛めてしまう方もいます。
・手先を使う仕事や、楽器演奏で指先を頻繁に使う方など。

簡単ツボ押しケア方法

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臨床例

M.O様（50代女性）
［主訴］右手母指バネ指
［初診］令和元年　12月　6日
［経過］一年以上前から症状はあったが、最近起床時に、右指が伸びたままでなかなか曲がらなくなった。原因はとくに思い当たらない。
［一般症状］頭痛持ち、高血圧（145/95）薬あり、（190以上）薬なし、胃痛
［既往歴］子宮頚がん（10年前）、胃潰瘍、腰部椎間板ヘルニア
［診察］右母趾の腱鞘（A1）部に圧痛を伴い、他四指のＭＰ関節（中手指節関節）の動きもぎこちない。他、肘の尺沢、首の風池、肩甲骨圧痛等の硬結。腓腹筋の左真ん中Ⅱ（-）。
［治療］左外関に置鍼すると、右親指の圧痛が減る。他左尺沢、公孫、太衝、うつ伏せで風池・膏肓などに置鍼。右手掌部ＭＰ関節部に8分灸3壮、右母趾～手首の圧痛部に8分灸3壮をする。セルフケアにお灸をしているとの事で、ツボのカ所を伝え終了とする。